こんにちは、IDCruise代表取締役の山内と申します。
今回から、弊社が現在研究を続けている「Big Five」について、本欄にてご紹介させていただきます。
皆様のマーケティング施策における、新たな発見や知見につながるような情報をご提供できればと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
Big Fiveとは?
現在、弊社では「オンラインユーザが、何を考え・どのように行動するか?」を予測・可視化するため、独自AIモデルの研究開発を行っております。
このモデルは、オンラインユーザの1人1人にパラメーターを付与し、その数値から「ユーザが将来何を考えて、どのような行動をとるか」を予測する目的で作られております。この「各ユーザに付与するパラメータ」を算出するために弊社が用いたのが、冒頭でもご紹介した「Big Five」という心理学で使われる指標です。
この 「Big Five」 は「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経質傾向」の5つのパラメータ(因子)に分かれており、それぞれに付与されたスコアの組み合わせによってユーザの価値観や行動傾向が判別できる、とされています。
各パラメータの詳細については、以下の図をご覧ください。
Big Fiveで分析した実際のデータ事例
続いては、弊社のこれまでの調査結果の一例をご紹介します。
ユーザの年収帯によって「Big Five」分類したものが、以下のグラフです。
今回は、個人年収が400万未満、400万以上1000万未満、1000万以上という3つの年収帯でデータを分類いたしました。結果、それぞれで「Big Five」のグラフの値が大きく異なることがお分かりいただけるかと思います。
(なお、各グループごとに統計的に有意と思われる母数を確保しております 。 )
年収が上がると各パラメータのスコアもおおむね上がっていることがデータからは読み取れますが、特にその傾向が顕著なのが、グラフ中の赤色のバー「開放性」です。
これは前述の図表の通り、「知的好奇心、創造性、そして人が持つ目新しさや多様性を好む度合い」を示しています。つまり、年収が1000万を超えるユーザは「知的好奇心が高く、新しいもの好き」な傾向が高い、ということが言えそうです。
一方で「神経質傾向」のバーを見てみると、他の4つのパラメーターとは異なり、年収 1000万未満のグループよりも1000万以上のグループの方が低い値となっています。
神経質傾向は「心理的ストレスを受けやすい傾向を表しており、怒り、不安、抑うつなど不快な感情を容易に経験する傾向」を表しています。つまり、年収が1000万を超えるユーザは「心理的ストレスを感じづらい、ストレスへの耐性が高い」傾向がある、ということが言えそうです。
鶏が先か、卵が先か
「年収が多い人ほど、心理的ストレスを受けにくい」と言われると、皆様も「そりゃそうだろう」と感じるかもしれません。
しかし、この結果は一方で「ストレスを受けにくい性質があるから年収が高くなった」、あるいは「ストレスを受けやすい人は金持ちにはなれない…?」という可能性も示唆しています。
「Big Five」の構成が年収を決めるのか、それとも年収帯によって「Big Five」が変化していくのか。鶏が先か、卵が先か…のような議論ですが、この点については学術界においても統一的な結論は出ていないようです。諸説ある中で、例えば国内で関連の研究を長く続けられている慶應義塾大学の鶴光太郎教授は、前者の説を支持していらっしゃったので、ご本人のインタビューをご紹介させていただきます。
人生を切り拓く「性格スキル」とは──慶應義塾大学 鶴光太郎さんインタビュー(前編)
ただし鶴教授は、「Big Five」について「後天的に伸ばすことができる」とも述べられています。現在のご自身の 「Big Five」 についてお知りになりたい方は、ぜひ下記のようなテストを受けてみることをおすすめいたします。
マーケティング領域における 「Big Five」 の利活用
いずれにしてもこの「Big Five」は調べれば調べるほど、また、データを集めれば集めるほど奥が深い!今回の年収以外にも、ユーザの在住地域や職業などによっても、有意差のあるデータが算出できております。
また、ダイエット、ゲーム、不動産投資などに興味関心をもつユーザ特有の「Big Five」の特徴も存在することが分かっており、弊社ではこうしたデータをマーケティング領域に活用するべく、広告配信サービスなどもご提供しております。
皆様のマーケティング戦略のお役に少しでも立つべく、今後これらのデータについても、当サイトにて順次公開していく予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。